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ノウハウ

みなし残業キチンと運営できてますか?

あなたの会社の所定労働時間は何時間ですか?

所定労働時間が決まっていても、職位や担当業務によってきちんと定時で退社できる従業員とそうでない従業員がいるのではないでしょうか。

「企画会議が長引いてしまって…」

「月末処理の都合で末日付近はとてもじゃないけど終わらないんです…」

そんな時はどうしても残業が発生してしまいますね。残業が発生したら残業代を払う、ということは、十分理解していても、給与計算・支払いは毎月のことなので、非常に手間です。その手間を減らすために、「みなし残業」を導入する企業が増えています。

「毎月ほぼ確実に残業が発生するんだから、みなし残業を導入しよう」

「残業代を細かく計算しなくて良いなんて、なんて便利!よし、さっそく導入!」

…ほんとうにそれでいいのでしょうか?
みなし残業を導入したいと思ったら、

就業規則に定めて、従業員に通知しないとダメ

これから導入を検討する事業主様は確認マスト!

従業員にきちんと理解してもらうことで、無用なトラブルや法律違反などを防ぐことにもつながります。

みなし残業の考え方

みなし残業とは、残業を一定時間行ったとみなして、従業員に賃金を支払う制度です。
つまり、残業してもしなくても、一定額の支払い(固定残業代)が必要です。

今月は残業0時間だから支払いません!というのは通用しません。

では、実際にみなし残業分の残業代を支払うための計算方法を見ていきましょう。

例:事務:Aさんの場合
所定労働時間:9時~18時勤務、1日8時間、週40時間(週休2日)、基本給170,000円
時間単価:1,000円

1月あたりの平均所定労働時間:170時間
事務スタッフの月平均残業時間は8~12時間程度のため、みなし残業を10時間として設定します。

基本給
170,000円
残業をしたとみなす時間にあたる賃金
1,000円×1.25×10時間=12,500円

そのため、みなし残業10時間分の賃金を含めた合計で支払う場合は182,500円を支払う必要があることになります。

みなし残業を導入する際のポイント

みなし残業を導入する手順と、ポイントを確認しましょう。

1.従業員の勤務の現状を整理する

まず現状の従業員の働き方を確認する必要があります。なるべく現状から見込まれる時間数をみなし残業時間数として設定しましょう。

とはいえ、みなし残業の時間数を多く設定すれば、それだけ計算の手間が省けるから「100時間に設定しよう!」などと考えてしまいませんか?

ポイント:固定残業代に対応するみなし残業時間は月45時間までとするのがベター

まず従業員に残業をさせるためには時間外・休日労働に関わる協定届(36協定)が必要ですが、労働基準法の改正で36協定を提出する際、時間外労働時間の限度基準として「原則として月45時間・年360時間」と定められています。

そのため、固定残業代にあたる、みなし残業の設定時間も45時間以内に収めておくことをお勧めします。

そして、みなし残業時間を多めにとった場合、従業員からの印象を考えてみてください。「みなし残業、70時間もあるの…!!どれだけ残業させるつもりだよ!!!」という印象になりかねません。新規採用を考える際にも求人票にみなし残業について記載しなくてはならないため、ぜひ、この点は気を付けておいた方がいい点です。

2.就業規則や労働契約書に落とし込む

例えば下記のような文言を就業規則に盛り込むことをお勧めします。

(固定残業の定め)
第〇条 〇〇手当は固定残業手当として、あらかじめ設定した時間(〇〇時間)に対して支給し、実際の労働時間がこれを超えた場合は、法令に基づき割増賃金を加算して支給する。

みなし残業を設定することで、今まで運用していた賃金テーブルなどに変動が生じる可能性もあります。設定時間と総支給額は従業員のやる気を左右する重要な項目のため、慎重に進めていくのがよいでしょう。

きちんと運営されなかった企業のトラブル事例

  • 採用時に説明不足!

みなし残業の制度を知らずに入社し、決められた時間数までは残業代がつかないことに不満を持つ可能性もあります。制度をきちんと説明し、残業の有無、おおよその予測時間とそれに伴い支給するみなし残業代の説明をしておきましょう。

  • みなし残業の計算ミス!

みなし残業代として10時間支払っていたとしても知らないうちに計算ミスとなっている例もあります。

Aさんが2日間仮に18~23時まで10時間残業していた場合を考えてみましょう。
18~23時、5時間の残業なので
1,000円×1.25倍×5時間=6,250円

を支払えばいいとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、これでは不十分です。22~23時は深夜時間なので別途深夜手当(0.25倍)を追加で支払う必要があります。

1,000円×1.25倍×5時間=6,250円
1,000円×0.25倍×1時間=250円

6,250円+250円=6,500円
6,500円×2日=13,000円

つまり2日で13,000円を残業代として支払わなければなりません。しかしながら先程のAさんの例ではみなし残業代を12,500円で設定をしていましたので、12,500円だけ支払ったとすると500円分未払いになります。したがって深夜残業分については追加で支給する必要があるということになります。

繰り返しになりますが、「みなし残業」とは従業員がどれだけ働いても残業代を払わなくてよい、ということではありません。想定外の時間外労働・深夜労働などが発生した場合は上記のように計算して支払うことが必要です。そのためにも、従業員の労働時間(タイムカード等)はきちんと管理を行いましょう。

みなし残業のメリットを生かすために

みなし残業は「残業をしてもしなくても支払われる手当」という位置づけなので、当然、残業がない方が従業員も得をします。「それなら早く仕事を終わらせて、家に帰ってゆっくり休もう!」と従業員の意識をいい方向へ働かせることで、会社側としても残業時間の短縮に期待できます。

結果、仕事のやり方の見直しにつながったり、効率の良さを自然と求める動きが生まれやすくなります。

長時間労働は体調面・精神面へ悪影響を及ぼす可能性が高く、光熱費等の経費面からみても無駄が多いと言わざるを得ません。
長時間労働撲滅に一役買うかもしれない「みなし残業」の制度を、有効に活用していきましょう。